(公財)国際宗教研究所
 
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『ラーク便り』データベースについて

『ラーク便りの全記事のうち、ここでは「宗教専門紙の記事」、「一般紙・雑誌の国内宗教関連記事」、「国外の宗教ニュース」をデータベース化してあります。
ただし、最近3年間のものは収録されておりません。
『ラーク便り』本誌には、これ以外に「ピックアップ・ファイブ」、「研究ノート」、「エッセイ」、「宗教専門紙が書評した本」、その他が掲載されています。

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詳細
記事年月 2004年3月-5月
号数 23
媒体 国内
大分類 【6.政治と宗教】
小分類(国名等)
記事タイトル *小泉首相の靖国参拝をめぐり、異なる判決
本文テキスト  小泉首相による靖国神社への参拝をめぐって一連の裁判が行われているが、参拝は憲法の政教分離原則に反しているとする訴えについて、松山地裁は4月16日、これを退けた。小泉首相による2001年8月13日、2002年4月21日、2003年1月14日の3度にわたる靖国参拝について、板倉充信裁判長は憲法判断に踏み込まず、「参拝は『公権力の行使』にあたらず、原告の訴えは不適法」などとする主文を読み上げると5分で閉廷。
 四国の宗教家や戦没者家族ら133人と2宗教法人が国と首相、靖国神社に求めた1人あたり1万円の慰謝料については、「参拝による原告らの利益侵害は認められない」として賠償請求を棄却し、参拝差し止めや違憲確認などの訴えも退けた(朝日・東京 3/17、毎日・東京 3/17、愛媛新聞 3/17)。
 しかし、4月7日福岡地裁では、小泉首相による靖国参拝を違憲とする判決が下された。亀川清長裁判長による判決の骨子は4点。(1)参拝は公的なもので、憲法で禁止された宗教的活動にあたる。そのため、(2)参拝は憲法20条3項が禁止する宗教的活動にあたり、同条項に反する。しかしながら、(3)この参拝が原告の信教の自由を侵害したものとはいえない。よって、(4)原告の利益の侵害があったとはいえない。
 この訴訟では、2001年8月13日の参拝について、九州と山口の市民ら211人が、首相と国に1人あたり10万円の損害賠償を求めていた。原告側の請求そのものは棄却されたため、首相側の控訴は認められず、4月22日、違憲判断を下した判決が確定した。
 この判決に対して小泉首相は強く反発し、今後も靖国参拝を続ける意向を示した。このような首相の姿勢を民主党など野党各党は厳しく批判。与党自民党内では判決への疑問の声が出ているものの、自民党と連立与党を組む公明党の太田昭宏幹事長代行は、靖国の公式参拝には違憲の疑いがあるとの見解を示したうえで、「無宗教の追悼施設をつくることが大事だ」と述べた(朝日・東京・夕 4/7)。
 この判決をめぐっては、擁護する側が判決の理論的妥当性を評価するのに対し、批判する立場からは、判決の政治性を指摘して違憲判断が法的拘束力の無い傍論であることを強調し、今後への影響を最小限に抑えようとする発言がもっぱらである(朝日・東京 4/8、産経・東京 4/18)。
 他方、5月13日に大阪地裁で出された判決では、憲法判断は示されなかった。この裁判では、台湾人124人を含む236人が、国、首相、靖国神社に1人10万円の損害賠償を求めていたが、吉川慎一裁判長は「参拝は国の機関としての首相の職務行為とは言えない」として、憲法判断には踏み込まずに請求を退けた(朝日・東京・夕 5/13)。原告側は25日、大阪高裁に控訴した(朝日・東京 5/26)。
 同様の裁判としては、千葉地裁でも、戦没者の遺族や県内の宗教家ら63人が首相と国を相手に630万円の慰謝料を求めた訴訟が係争中であり(朝日・千葉 4/8)、那覇地裁では戦没者遺族や宗教者ら81人が首相と国に対し1人10万円の損害賠償を求める訴訟が起こされている(沖縄タイムス 2002/10/1)。
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