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記事年月 | 2003年9月-11月 |
号数 | 21 |
媒体 |
国内 |
大分類 | |
小分類(国名等) | |
記事タイトル | 小特集 進む自公の「選挙協力」 |
本文テキスト |
10月28日に公示された衆院選では、自民党と公明党の選挙協力が極めて異例な形で展開された。その合い言葉は「小選挙区は自民党へ、比例区は公明党へ」という政党の存在意義を揺るがしかねないもの。10月16日には早くも公明党が自民党小選挙区候補98人の推薦を決定。自民党は10月22日に公明党幹部2人を特集した異例の機関誌号外を発行し、都市部の公明票にラブコールを送った。一方、公明党の第一次推薦から漏れた山崎拓自民党副総裁は、公明票の見返りを期待し、冬柴鉄三公明党幹事長の応援に駆けつけている(東京・東京・夕 10/28他)。こうした動きに対し10月31日、枝野民主党政調会長は、自民党を「自由公明党」に改称すべきと発言した(朝日・東京11/1)。 これらの協力体制のもと、東京16区では、島村宜伸元農水省が当選した。島村氏は文相時代に宗教法人法改正を進め、96年の総選挙では創価学会を批判したが、前回の落選の経験から、今回は公明党に協力を要請していた。公明党は16区では自主投票としていたが、公明党幹部は「(他候補の推薦をやめたのは)現状では最大の支援」と述べていた。また公明支持層のある男性は、これまでの島村氏の言動は不満だが、選挙協力があるので今回は島村氏に投票したと語っている(朝日・東京 11/10)。また神奈川6区でも前回に比べ「協力」が進み、公明党候補が民主党候補を僅差で破った(朝日・横浜 11/12)。 しかしながら、自民党候補の7割以上にあたる198人が公明党の推薦を受けたにも関わらず、65選挙区で敗退。山崎拓、太田誠一らの大物議員も落選した。反対に比例区の公明票は870万票の新記録となる躍進。唯一、候補者を一本化できなかった沖縄1区でも、公明党白保氏が自民前職で無所属の下地氏を破るなど、バーター選挙の非対称性が浮き彫りになった(東京・東京・夕 11/10、週刊ダイヤモンド 11/22、月刊テーミス 12月号他)。 自民党は一部の議員が、創価学会、公明党と対立してきた歴史的経緯がある。こうした議員の多くが公明党、創価学会に頭を下げたといわれる今回の「選挙協力」は、政策や認識が相違を無視し、政権と議席維持のためだけに行われた感が強い。自公の緩衝剤といわれた保守新党が自民に吸収されたため、自公の利害調整が一層顕著になるという指摘もされる中、形振り構わぬ「協力」で、「見返り」という歪んだ政策決定によって、国政と民意との乖離が一層進む事態が危惧されている(文春 11/27他)。 |